こんにちは、みやぎ歯科クリニック上落合 院長 宮城拓人です。
3月も後半に入り、医院も開院して1ヶ月半が経過いたしました。
皆様のおかげで充実した日々を送っております。今後ともスタッフ一同精一杯精進いたしますのでよろしくお願いいたします!
今回は口腔がんという少しハードな話題です。近年でも芸能人の方が患ったりしてニュースでも取り上げられていましたので、患者様の中でも口内炎が治らない、、、などご不安なかたが多いものだと思います。
母校大学病院の口腔外科で多くの患者様や手術を経験してきましたので、ご自身でできるセルフチェック等についてや、リスクが高い状態、今から気をつけて行くことについてお話しいたします。
1.口腔がんとは
お口の中のあらゆる場所にできるがんのことです。発生場所として
・舌
・歯肉
・口唇
・口蓋
・頬
・唾液腺
などなどお口の中の多くの場所にできます。
お口の中は食事や発語、会話など多くの機能を司っています。大きく切除したりするとその後私生活に影響が出やすい場所が多いです。
日本における口腔がん、咽頭がんの罹患、死亡の統計
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年 | 罹患者数 | 死亡者数 | 死亡率 | |||
1995 | 8560 | 4099 | 47.90% | |||
2000 | 9475 | 5066 | 53.50% | |||
2005 | 10915 | 5679 | 52.00% | |||
2010 | 15560 | 6802 | 43.70% | |||
2015 | 19442 | 7380 | 37.90% | |||
出典 国立がん研究センターより |
これを見ると医療の進歩に伴い、死亡率は減少傾向になってはきましたが、以前とても低い数字とは思えません。
ちなみにアメリカの数字を見てみると、、、
アメリカにおける口腔がん、咽頭がんの罹患、死亡の統計
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年 | 罹患者数 | 死亡率 | |
2000 | 30200 | 25.80% | |
2005 | 29370 | 24.90% | |
2010 | 36540 | 21.60% | |
2015 | 32670 | 18.90% |
出典 国立がん研究センターより
罹患者数は日本より人口の多さにより多いですが、死亡率に関しては日本の半分程度です。
日本の口腔がんの患者数は年々増えていると言われており、先進国の中で唯一、口腔がんの死亡者数が増加しています。
これはなぜでしょうか?
遺伝、個人差そういった要因も含まれてはいますが、
定期的に歯医者に通院し、口腔内チェック、クリーニングをしている方が少ない
口腔がんを見分けられる歯医者に通院しているかどうか
口腔内のがんリスクが上昇、悪化するケースが日本は多い
と自分は考えています。
ここからは自分の経験も踏まえてお話ししていきます。
2.口腔がんの原因、リスクについて
原因と一言では表せないくらいありますが列記します。
①生活習慣(喫煙、飲酒など):口腔内の刺激物になるためリスク高
②口内炎(よくできる方は注意!)
③歯列不正:よく舌や頬を噛んでしまったり、傷がつく方はリスク高い
④入れ歯が合わない状態で使用している方:これも歯肉や頬に傷がつくためリスク高
⑤虫歯をそのままにしている、口腔内の汚れが多い:口腔内の最近が多く、口腔内環境が悪い方はリスクが高いと言われています。
主なものを挙げましたが、これ以外にもアマルガムや舌小帯の付着異常など様々です。
自分が大学病院で数年間見てきた患者様でほとんどの場合、お口の中が
『プラークや歯石がかなり多く、合わない古い入れ歯や被せ物をそのままにしており、多くの場合、歯周病で歯が傾斜、元々の歯列不正で口腔内が傷つきやすくなっている状態』
これは歯医者に行き、しっかりと定期検診や口腔外科医に定期的にチェックをしていれば、もしかしたら防げたのではないか、、、
と当時から考えておりました。
当院では口腔外科学会の認定医(院長)が毎日在籍しておりますので、ご不安な方、歯医者久しぶり、、という方も是非一度みやぎ歯科クリニック上落合へお越しください!
詳しくは↓から
3.当院での口腔がん検診
問診票の記入(口腔がんになる要素がどれくらいあるか?生活習慣についてお聞きします。)
↓
視診・触診・写真撮影(状態をチェックします。)
↓
レントゲン検査
↓
4.自分でできるセルフチェック!
ここではセルフチェック法についてお話しします。日本口腔外科学会もセルフチェック法を提唱していますのでそれを少し改変してお伝えいたします。
前提としては歯医者での検診が必要です。この方法で大丈夫だから、、といってがんではない。ではないのでご不安な方は必ずチェックにいらしてください。
①まず明るい光のもとで鏡を用意し、入れ歯などご自身で外せるものは外してください
②歯ブラシとうがいをしてください
③上の歯と下の歯を軽くかみ合わせるようにして、上と下の唇を軽く指で持ち、唇の内側を観察。そのまま、前歯の歯ぐきも見てみましょう。この時唇が力が入っていないのに固かったり、歯茎の色がおかしい場合はご連絡ください
④今度は口をあけて頬っぺたを指で少し外へひっぱり、上下の奥の方の歯肉と頬っぺたの内側を見て触って確認しましょう。これも同じで頬が力が入っていないのに固かったり、ひりつく場合は受診してください
⑤舌を前に出し、左右に動かしましょう。この時片方だけ動きが悪かったり強く動かすと痛い場合はご連絡ください
⑥上あごを舐めるように舌を伸ばします。舌の裏側と口腔底(舌の下側)を見て色や形がおかしい場合受診です。
ステップを簡略化してますが、ご自身の気になるところだけでもいいのでおこなってみてください。
軟組織疾患は14日の経過観察で治らなければ異常あり、と自分は基準を設けております。
ご不安な方は一度いらしてください!
5.よくある症状
口腔がんを怪しむ段階でよくある症状をお話しします。
思い当たる方はまずはセルフチェックしてみてください
・食事をすると舌や頬がヒリヒリする、痛い
・発語、発音がおかしい
・入れ歯が合わなくなってきたり、違和感が続いている
・一部の歯がぐらついている。(歯周病のことがほとんどですが、一部の口腔癌によるものも経験しているのでしっかり鑑別いたします)
・口腔内にできものがある
・一部の舌、歯茎、頬が赤かったり、盛り上がっている
細かく書くとまだありますが、このような症状の方は一度検診にいらしてください。
6.まとめ
口腔がんは非常に厄介であり、ご高齢の方の方がリスクが高いものになります。
口腔外科に携わっている自分としても早期発見、早期治療を患者様に覚えていただき、口腔がんで重大なことにならないよう、当院でもそのお手伝いができればと思い、今回のブログを書かせていただきました。
できものが気になる、、不安だから見てほしい、、、どんな訴えでも丁寧に診察いたしますので、皆様ご来院お待ちしております。
みやぎ歯科クリニック上落合 院長 宮城拓人